始まったイノシシとの戦い

父から花づくりを受け継いで30年を越え、これまで緑がないと思っていたイノシシが、十数年前から私の畑に頻繁に出没するようになりました。1S2aの畑に育った花株が、何度も畝ごとむちゃくちゃにされ、悪夢のような状況でした。高齢の母が毎日畑に通って丹精込めて作った野菜も、たった一晩で全滅し、そのショックは食事も取れないほどのひどいものでした。

 

三度にわたる対策

なんとかイノシシの防除をと、展初に試したのが電気柵でした。畑全体の周囲がーkm近くもあり、比較的安価で設置が楽だったからです電気柵は効果抜群でしたが、春は雑草が一日に3～4cmも伸びます。たとえ草一本でも電線に触れると短絡して効果を失います゜イノシシが出始めると毎日が草との格闘となり、ついには草刈りが追いっかず、電気柵を諦めざるをえませんでした。

二度目は、すこぶる強い養殖用の魚網を手に入れて張り巡らせました。すると、穴を掘り網の下に潜られ畑に侵入されてしまい、これも防除ならず断念。三度目はワイヤーメッシュを魚網に追加して張り巡らせて防ごうと、工事をしました。これもあざ笑うかのように、穴を掘られたり弱い所から侵入されたり、花畑も母の野菜畑も被害続出で、挫折しました。

 

イノシシの弱点を発見！

そのうちイノシシは畑だけでなく庭まで侵入してきました。なんとか庭だけは守りたいと、人間の居住区は危険だと学習させるために落とし穴を掘り、穴の上に丈夫で目が粗い鉄の網を匹き、新聞紙を戟せ土と落ち葉をかけて様子を見たのです。すると、まった＜踏み抜かないのです。なぜ？と今度は寝ずに観察したところ、夜中の12時過ぎにイノシシがやってきて、落とし穴の手前で止まり、踏み抜くことなくUターンして帰っていったのです。なぜ踏み抜かずに落とし穴が分かったのだろうかとふしぎに思い、あくる日に確かめました。すると新間紙の上には足で触れた跡はあるものの、踏み抜いていなかったのです。

慎重に観察してひらめいたのは、どうも網の横棒を足首に感じた瞬間に、前に進むことをやめたのではないかということ。足の自由を奪う網を嫌がったようです。そこで、イノシシの獣道に網を地面から10cm浮かせて取り付けて様子を伺うと、なんと100％防ぐことができたのです。足の自由を奪われることが大きな弱点だったのですI

 

試作を繰り返して製品を開発

私は、すごい発見をしたかもしれないと考え、イノシシで困っている人は私や母だけでなく、世の中に山ほどいると思い、製品開発を始めました。今までの縦網だけの防除方法では、イノシシの強力な呂や足のカで破られます。それを防ぐには、縦網を土中に30cm以上埋め込み、長くて太い鉄杭や支柱で強度を出すための大きな工事が必要です。しかし、私が発見したイノシシの弱点（足の自由を奪われること）を考えると、最低限の強度で簡単に組み立てられる装匿を作ることができると考え、開発試験を繰り返しました。

まず、歩行を邪廣する横網だけで防除しようとすると、2m以上の幅にする必要がありました。

それは、1m程度ではイノシシが簡単に飛び越えてしまうからです。しかしこれでは畑が極端に狭くなります。

そこで、飛び越え防止としての縦網を設磁すれば、横網幅が90cmでも飛び越えられずに、すばらしい効果が出ることが分かりました。

このことから製品の形状と特徴を次のように決めました。

①自立式で折り畳んだ構造で、簡単に開いて1分＜らいで組み立てできること

②持ち運びやすく、高齢者や女性でも簡単に組み立てられるもの。1セット約8kg

これらを具体化し、改良を重ねて完成したのがスーバーガードフェンス「コナイシシ」です。

まず、わが家で試験をして完全に防除できたことから、噂を聞いた知人から設翌依頼がありました。

まだ発売前でしたが、約2aのミカンと野菜の畑に設塁して再度改良し、すばらしいものが完成しました。

設宮した畑を、イノシシが危険地帯と認識し、近寄ることがなくなり、喜んでいただいています。

 

サル、シカ、アライグマ、ハクピシンも防除

私の地区ではイノシシとタヌキの被害が目立ちましたがサルやシカ、アライグマ、ハクピシンも防いでほしいとの声が寄せられました。

そのため、柵の上部に支柱を取り付け、電線を張り、電気柵を追加できるオプションも開発しました。

電気柵は120cm以上の高さになるので、草が電線に触れて地絡する心配がないところがうれしい特徴です。